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面白そうと思ったのは、裏表紙の簡単なあらすじを読んだから。
ライトノベルは読みやすくて設定が面白いものが多い。
楽しく読めるから手に取る機会も多い。
なにげなく手に取ったものがシリーズの第一作目だったことも。
でも最後までつきあえる物は考えてみれば少ない。
これはその少ない物の一つでした。
第一巻から八年。
八年?! そんなに経ってんのかよ!
てか、あたしもよく付き合ったもんだ。
いつの間にか、アニメになり漫画になり…。
そんなに人気があったのね。知らんかったわ。
シリーズ当初は「十二国記のパクリだ。」という意見もみかけました。
あっちも大好きだけど。
こっちも独自の道を駆け抜けました。
おつかれさん。
登場人物の皆々様。
がんばったね。
筆頭はやっぱり秀麗と劉輝だけどね。
『彩雲国物語』
全18巻
紅(こう)、藍(らん)、黄(こう)、黒(こく)、白(はく)、 茶(さ)、碧(へき)+
王都のある紫(し)と、八つの州で一つの「国」。
だから「彩」雲国。
1巻ではこんな話になると誰が予想する?!っていうぐらいラブコメでした。
ヒロインの秀麗(しゅうれい)が破格の給料に釣られて、後宮の雇われ妃になるところからスタート。
でも、当の旦那様である王様は、朝の会議にも出ずふらふらと後宮内をうろつくばかり。
後宮入りした妃に会いに来ようともしない。
秀麗は名門貴族の娘だけど、父親が実家を出奔していることから産まれたときから貧乏生活をしていたため、
経済観念バッチリ家事キッチリの超庶民なお嬢様。
虐待され無視され続け孤独な少年時代を送った、うすぼんやりだった昏君・劉輝(りゅうき)が、
自分を見つけ、自分のためにお菓子を作り、美味しいお茶を入れてくれた秀麗に惚れるのは当然で。
彼女のために「王」になろうとした。
それが後々の仇になるとも知らず。
この作品の面白いところの一つでもある、多彩な登場人物。
はっきり言って性格が曲がってないのが、この秀麗と劉輝だけという、
振り返ってみれば恐ろしい世界。
あ、もう一人いるか。割とまともな人が。(←この人が私の一番のお気に入り)
でもそれくらい。
世間を、上司を、部下を、家族を、友を騙し自身の望みを叶えるために手段を選ばない。
顔はいいのに、性格が悪すぎるヤツが多すぎる(笑)。
悪すぎて笑えてくる。腹も立たない。
そしてそういうヤツに限って頭が良くて仕事ができて隙がない。
世界観としては中華風ファンタジーなので、政治の場は「朝廷」。
役人は「官吏」、役人になるための試験は「国試」、
大臣は「大官」、官庁は「尚省」。
ちなみに日本で言う総理大臣は「宰相」、役職名称は「尚書令」。
劉輝の前の王様は、劉輝のお父さん。
実は、このお父さんがかなりな曲者で、
自分が登極するときも、跡継ぎを決める時も血をかなり流したという
「血の覇王」。
本当だったら劉輝は末っ子なので、王になるはずがなかった。
一番最初に、優秀だと評判だった2番目の兄が追放され行方不明になり。
つぎつぎと6人いた兄が、貴妃たちが殺された。
後宮の池で異様に膨らんだ母の遺体を発見したのは、5歳の劉輝だった。
そうして残った末の公子。
大人達の思惑で、短期間の「退位するための王」としてまつりあげられた。
そんなことはもちろん当人は知らないし、本当に一部の大官のみで決められたことなので、
官吏の大半も真実を知らない。
迷っても悩んでも誰も助けてくれない。
若いから知らないからは理由にならない。
逃げるのならばそれは単なる「無能」。
慈悲もない。
そんな政治の場に、幼い頃からの夢だったと語る秀麗が、
前例のない「女性官吏」として乗り込むあたりから
様相が変わってきました。
魑魅魍魎(頭が良くて仕事ができて性格が悪いおっさんたち)が跋扈する朝廷に
たった17の女の子が、胸を張って登庁する。
もちろん馬鹿にされたし嫌がらせもされたし無視もされた。
でも秀麗は駆け抜けました。文字通り命を削って。
そして誰にも文句を言わせないだけの実績を作り、国に貢献し、未来を築いた。
この作品の女性達は本当に強い。
肉体的にではなく精神的に。
軍を率い、剣をふるう男達よりも遙かに。
鳥肌がたった台詞がありました。
祖母が孫娘に送った激励。
ーいつか出会う、たった一人の特別な「他人」のために。(中略)
もしその相手が、自分以外の誰ぞの心配で苦況に陥るようなお人好しの馬鹿者なら、
その時はお前の力で助けに行ってやるとよい。
すべてを尽くして、愛する馬鹿者を救いに行けー。
この後、この孫娘ちゃんは何年も封印してきた「言葉」で(←周りの人はこの子が喋れないと思っていた)、
絶望の最中にいる幼なじみに掴み掛かり叱りとばし立ち上がらせました。
実際こうして叱咤し、言い負かし(笑)、頭の固い意固地な男どもを導くのは
いつも女性たちでした。
立場が弱いはずの女たちは、「力」はなくても「心」がありました。
プライド。
信念。
約束。
目に見えないものだけど、それが女たちの強さの源でした。
年齢に関係なく、メインキャストの女性達は全員カッコよかった。
女性作者が書く女性は本当に素晴らしいと思う。
凜として迷いがなく自分以外の何かのために奔走する。
こういう女が書けるようになりたいもんだ…。
って、そうか。
そういうヒロインじゃないシリーズが脱落していくんだ、あたし。
いま気づいた(笑)。
基本的に活きのいい女の子が好きなんだな。
今、続けて買ってる漫画のヒロインもパワフルなのばっかだわ。
閑話休題。
途中から、もう誰が味方で誰が敵なのかわけがわからない上に、
いわゆる「超能力」の一族もからんで来るもんだから
「どこいっちゃうんだ~~~!!」
と思ってたけど。
それがようやっと落ち着いて。
登場人物達が何のことを話してるのかわからなかった件とか、
かなり前からちょこちょこ出てきてた水面下で問題になっていた件とかが、
実はある人のある目的のための布石だったことがわかり。
最終巻は「王とは」という劉輝の決断がメインでした。
誰が誰の味方なのか、誰と誰が繋がっていたのか、誰それは腹の中で何を考えていたのか
などなど明らかにされることが多かったので、すっきりしました。
だって、みんな腹黒だから。
ホント何考えてるかわかんなかった。
普通思わないよね。
たった一つの願いが「いい人になりたい。」とか。
その時点で、自分は悪党って認めてるっていう。(でもこの人好きだった~。)
自他共に認める「悪党」。
そんなヤツばっかだ(笑)!
でも。
超ハッピーエンド。
ホント、よかった(T_T)。
劉輝も一番の望みが叶ったし。
秀麗も思う存分働いた。
死んで欲しくない人は全員生き残り。
健やかで平和な「その先」を見た。
まじでちょっと永田町の人たちに
ツメの垢でも煎じて飲んで欲しい。
もっと言ってしまえば、こういう官吏が現実にいてくれたらと思う。
悠舜が外務大臣で、旺季が厚生大臣で、白大将軍が警察庁長官だったら…。
十二国記も読んだときもそう思ったなあ。
延王がいたらとか、奏国の王様一家がいたらとか(笑)。
あれも「政」が欠かせない要素だからね。
運命も血筋も年齢も時間も関係ない。
悩んで迷って選んで泣いて怒って疾走した人たちのいる国の物語。
ほんとにおつかれさん。
よくがんばったね。
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文庫になるまで待とうと思っていました。
でも、ポップに負けました。
何に負けたって
「失礼ながら、そんなこともおわかりにならないとはお嬢様はアホでございますか。」
の一行。
完敗。
レジ行き決定。
東川篤哉
『謎解きはディナーのあとで』
推理物としては「ええ~!!」という程の驚きの部分がありませんでした。
「ああ、そうか。そうね。」っていうくらい。(偉そうに)
ただ、これの何が面白かったって「執事・影山」に尽きると思う。
外見は涼やかなこの執事。実はキャラがめちゃくちゃ濃い。
主人公は国立署に勤める宝生麗子さん。
可愛らしい女性なんですが、れっきとした刑事さん。
この麗子さん、実はお祖父様が大財閥の会長さんで広大な屋敷に住む筋金入りのお嬢様。
影山は麗子さん専属の執事兼運転手というお仕事に従事しています。
第一話で、麗子さん付きになって一か月ぐらいという記述があったので、わりと最近雇われた人なんですが
子どもの頃「プロ野球選手か探偵になりたかった。」という通り、探偵としての洞察力・推理力に優れた人。
自宅に帰ってきて現場での事を考えているお嬢様を上手いこと誘導して、事件を事細かに説明をさせる。
現場の様子。
遺体の状況。
第一発見者。
関係者の証言、などなど。
それらを総合して、影山は麗子さんに自分の考えを述べる。
そして、的確に犯人を探り当てていく。
ちょっと変形の安楽椅子探偵。
でも毒舌。そして腹黒。
自分が仕えているお嬢様を正面切ってこき下ろす。
しかも「しれっ」と。
それがポップにあった上記の一文。
真相を語り始める前に必ずこうしてお嬢様を小馬鹿にする。
ていうか、常になんだかんだと「アンタお嬢様を敬ってないよね。」という言動をする影山。
麗子さん自身は、お嬢様なんだけど
自分が大富豪の娘であることを職場にはひた隠しにしているし、
一般常識を持ち合わせた常識人。
自分の立場と仕事を弁えた社会人。
だから、「お嬢様はアホでございますか。」と言われたり、
「お嬢様の目は節穴でございますか。」と言われたりして
激怒はするんだけど、自分のプライドよりも事件解決を優先するため、
結局は影山をクビにできずじまい(笑)。
麗子さんと影山の、「ボケとツッコミ」というよりも「腹黒にツッコミ」な会話が面白かった。
言葉選びが上手いなあ、と。
大型激安量販店とかシアトル系カフェチェーンを
「ドンキホーテ」でも「スターバックス」でもなく、普通に会話に出てくるように
「ドンキ」「スタバ」と表現したのもちょっとびっくりした。
それやっていいんだ(笑)。
この本で、もう一人メインキャラがいまして。
麗子さんの上司で風祭警部という人。
デザイン重視・燃費無視、エコ?なんですかそれ?っていう車を製造販売している
「風祭モータース」というところの御曹司で、
事件現場にシルバーメタリックのスポーツカーで乗り付け、
ブランド物のスーツを着用した「ボク、お金持ちです。」と触れ回っているような人。
本当は麗子さんの家のが何倍もデカいんだけど。
でも、この人アホなんだよなあ。
微妙にセクハラするし、腹立つ人ではあるんだけど、憎めない。
アホだから。
こんな人が何故警部にまで昇進できたのか謎ではあるんだけど。
アホなのに。
口には出さないけど、麗子さんはこの上司に常に心の中で突っ込んでます。
こっちは「ボケとツッコミ」ってかんじ。
がんばれ。麗子さん。(笑)
続編みたいのはまだ無いみたいなので、出るとしたらまたずっと先かなあ。
事件がどうこうよりも、影山と麗子さんの会話が楽しいので出て欲しい。
この人の他のシリーズも読んでみよう♪
昨日、無事(?)act.13が終了いたしました。
ご来場いただきましたお客様方に心から感謝を申し上げます。
細かいハプニングの連続でしたが、大きなトラブルなく終えられたことに安堵しています。
いつものように袖に待機する予定でしたが、先月引いた風邪から何週間も咳が止まらず、袖にいたのでは客席に聞こえてしまうと判断し楽屋に引っ込んで音だけ聞いていました。
あ、病院には行ってきます。(←と言っとかないとまたのらりくらりと避けてしまう)
今回は初の再演と言うことで、キャストも緊張したと思いますが私ももちろん緊張していました。
私自身の成長を問われているようで。
7年前、わけもわからず見よう見まねで造った「伝達人形」がこんな形で生まれ変わるとは思いもよりませんでした。
話し合いの末、演目が決まったとき
「書き直させてくれ。」
と言い出したのは私です。
初演でできなかった、「何も知らない兄」を「女の子の人形」に入れるという形をどうしても取ってみたかった。
それは単なる私のこだわりなのかと思った部分もありました。
でも、メンバーはあっさり「いいよ。」と言ってくれて、ちまちまと2~3週間で仕上げました。
「兄」の二人に共通認識として提示したモデル人物もとても魅力的な人なので、二人が徐々にその人物に似た行動をするようになるのが見ていて楽しかったです。
普段の行動もちょっと彷彿とさせるものがちょこちょこ出てきてそれもまた笑えた。
ていうか、普段は似なくてよかったんだけど(笑)。
その真逆のキャラクターとして設定した「涼」とその人形の「風夢」。
涼くんはとにかく4月までは身動きが取れないことがわかっていたので、なるべく出番が少ない役を。
じゃあ、それが入る入れ物は涼くんとは逆タイプの容姿の子を。
ごましか居ません。
「本人と共通事項のある人物は避ける。」
というものが頭にあるので、背の高さ、体格、声質、と考えるとつかさや那智や理晞よりもごまが適任だと思いました。
初演の設定からすると、「黙秘した弟」はごまでも全然よかったんです。
でも、兄と弟は初演よりも「男兄弟」の雰囲気を強くしたかったし、感情を瞬間的に爆発させるのは理晞の方が向いてるかなと思ったので。
今回の「兄」は初演よりも、明るくてパワフルな人物。
だったらそれの「弟」は兄を反面教師にして育った対照的な人物にしようと思いました。
だから台本上の弟はかなり理性的な人物として書きましたが。
結果はご覧のシーサーになりました(笑)。
となると残るのは「審問官」と「事務官」。
当初、「こんなキャストで行こうと思ってるんだよ~。」とメンバーに話したときは、「審問官」が那智で、「事務官」がつかさでした。
でも、書き始める直前、
そのパワーバランスが普通すぎることがどうにも気になって。
「入れ換えたれ。」
と思いました。
年下が上司という屈辱。
エリート意識。
現代社会で普通にありえることをデフォルメして作ってもらいました。
稽古中つかさに
「つーさん、ヤな人になってるよ。」
と言ったら
「ひどいです~~。」
と返されました。
誉めたのに。なにさ。
はっきり言って「事務官」はどうとでも作れる人物です。
台本を読んだだけではこの「事務官」がどんな経歴の人でどんな性格の人なのかよくわからないと思います。
だったら、理論的に物事を考えることができるんだけど想像力豊かな(←この人の場合妄想力とも言う・笑)那智の方がいいだろうと思ったのです。
と、つらつらとキャスティング事情なんかも暴露してみました。
今回は、いろんな面で今までと違う部分が多くて、反省点が多数残りました。
チケットのこと。
客席のこと。
空調のこと。
スタッフのこと。
稽古のこと。
本当にたくさんあって、どれがなにやらで昨日から頭の中がぐるぐるしている状態。
打ち上げはいっぱい笑って食べて一人の話を全員で聞いて慎ましく終了しましたが、疲れて眠い中でも微妙に神妙な空気もあって。
まだまだ。まだまだ。
と、みんなが思ったと思います。
次に向けての動きがすでに始まっていますが、今はなによりも。
いつも手伝ってくれるスタッフ。
アポロシアターの皆さま。
足しげく稽古場まで来てくださるカメラマン様。
梅雨明け直後の猛暑をおそった名古屋にお越し下ったお客様方に、
心からの感謝を述べたいと思います。
本当に、本当に有り難うございました。
作・演出 慶史
廃材を使ったりました。
いつかゴミで出す時に、おかしな形に切られたヤツが発見されるでしょう。
つーわけで小道具内職終了。
………は、いいけど。
どうやって持って帰るか…。
今回ちょっと大物なんだよねぇ。