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ぎけいき:偽りなく慶史の日記です
March / 28 Thu 21:07 ×
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September / 19 Mon 17:50 ×

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生まれて初めて「推理小説」と言われるものを読んだのは小学生の時でした。
さらに学生時代、一時期ミステリばかり読んでいた時期がありました。
(通学時間が長かったので←田舎者の宿命)

宮部みゆき、綾辻行人、有栖川有栖、森博嗣、篠田真由美、大沢在昌…

今でももちろん好きなんですが、
あんまり犯人とかトリックとかにびっくりしなくなっているというか。

でもこれ(ら)は久しぶりに「なに?!」と言ってしまいました。

部屋で読んでてよかった。
外で読んでたら不審者だよ(^_^;)


中山七里
「さよならドビュッシー」
「おやすみラフマニノフ」


「ドビュッシー」はいつだかの「このミステリーがすごい!」で一位になったそうです。
「ラフマニノフ」はそれの続編。

舞台は読み始めて知ったのですが、なんと名古屋。
地下鉄や名鉄の路線図もぱっと思い浮かぶし、距離感もなんとなくわかる。
知ってる地名もバンバン出てくる。
こんなことは珍しい!

主人公は。
「ドビュッシー」は音楽高校に入学したばかりの女の子(ピアノ)。
自宅の離れが火事になり、全身大火傷を負いながらも、奇跡的に生還。
皮膚移植後の不自由な体ながら、コンクールを目指す。
そんな中、彼女に危害を加えようとする者が…。

「ラフマニノフ」は男子貧乏音大4年生(ヴァイオリン)。
学祭の定期演奏会で行われる、学長のピアノ協奏曲オーケストラオーディションでコンマスに選ばれ、練習を始めるも、
その時使用する予定の、学内で厳重に保管されている時価2億のチェロ(ストラディバリウス)が盗まれてしまう…。


両方ともミステリはミステリなんです。
でもどちらかというと根底にあるのは、青春スポ根モノとでも言うのか、
「いかに音楽を表現するか。」
「いかに音楽を愛しているか。」
「いかに自分と闘うか。」
がメインという感じです。

それらを体現し、「そんなに偉そうなことは言えないんだけど…。」と言いつつ
迷える子羊たちを情熱と独自の理論で導くのが、新進気鋭の天才ピアニスト。
この人が、両方共通の探偵役。

どうしてもピアノが諦めきれなくて、司法試験受かって司法修習終了後に辞めてしまったというスゴイ経歴の人。
でも、どこに住んでるとか、普段何してるとか(一応音大講師だけど)全く出てこないので、
生活感が全然なくて、謎と言えば謎な人。

実はこの人自身も、突発性難聴と闘うある意味身障者。

左の耳が、ある時突然聞こえなくなるという病気で、それはいつ起るかわからないという。
街を歩いているときかもしれないし、電車に乗っているときかもしれない。
最悪、コンサートでの演奏中かもしれない。
(実際に「ドビュッシー」はコンサート中に、「ラフマニノフ」は協奏曲(千秋くんがミルヒーとやった曲)の第二楽章が終わる頃に発作。)

これって、浜崎(あゆ)さんの病気ですよねたぶん。

同じ病気を患う登場人物が出てくる全く別の作品を、たまたまつい最近読んだんですが
この病気って、発症から治療開始を始めるまで、スピード勝負の病気なんだそうです。

治療が早ければ早いほど治癒率が高くなる。
猶予期間はわずか2週間。

病院に行ったものの病名がはっきりせず、
いくつも病院をまわっているうちに症状が進んでしまい
結局失聴してしまう。

先生は完全に失聴しているわけではありませんが、
その分いつその症状が出るのか
わからない恐怖感がある。
それでも先生は、ピアノが好きで音楽が好きで、生きていくために必要なものと言う。
それがないと生きていかれないと。
だからこそ、先生は「闘う」ことを生徒に教える。
障害に、環境に、病気に、自分に負けるなと。
自分で、選べと。

そうこうしているうちに、細かい事件がいくつも起るんですが、
視点は先生ではないので、その時点でミスリードされてしまう (笑)。

両方とも、演奏家をめざす学生さん目線なので、
事件に巻き込まれるとか、事件自体に関わっているかも?とかの状態でしか進まない。

しかも彼らは事件よりもまず演奏第一。

そのために、知りたいこと疑問に思うこともひとまず置いておいて
自分のステージに集中する。

「ドビュッシー」はコンクール本選の舞台へ。
「ラフマニノフ」は最初で最後の定期演奏会の舞台へ。

習ったこと、積み重ねたことを、十数分の演奏または57人での協奏曲にぶつける。

後悔したくない、自分のために。
その一心で。




そして、すべての荷が下りたところで、謎解きスタート。

先程も言ったように視点は学生さんなので、
先生が疑問に思ったり、なにか思いついたり、変だと思ったことが
客観的にしか出てこないので
何がなんだかよくわからない状態にあります。

でも、拾える限りのものを拾ってなんとなく犯人は絞り込んでみました。

「ドビュッシー」は犯人は半分あたりました。
ただ、唯一起った殺人事件の犯人にびっくりした。
で、先生の謎解きに「ああ!そういえば!」ってなる。
実際ヒントはいくつも出てるんです。
でも、まっっったく気づかなかった。

「ラフマニノフ」も犯人はわかりました。動機もなんとなく。
ただ何故彼がそういう行動をとったのかの理由にびっくりした。
それもちゃんと伏線で出てました。
でもそれが何気なく、その場面に必要な要素として出てくるので
そっちにばっかり気が行っちゃうんです。
「ドビュッシー」でやられたから、注意してたんだけどなあ(^.^)


いや~、騙されたわ~。

でも、楽しい。q(^-^q)
こういうのは嬉しい。

三作目はまだないようなので、他のシリーズも見つけたら読んでみようと思います。
だたしサイコスリラーは読めないのでパス。
コワイのキライ。(;ω;)



「ドビュッシー」は、転んでも立ち上がる。
「ラフマニノフ」は、自分を信じ突き進む。

そんな作品イメージがあるように思えました。



ちなみに。
「ラフマニノフ」で、十年前の東海集中豪雨のエビソードが出てくるとは思わなかったし、
主人公くんの自宅が西枇杷島で、バイト先が「矢●とん」なのは笑った。




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